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子どもの脱毛は何歳から?小学生でも受けられるかと判断材料

医療法人Clara理事長神林由香
【記事監修】神林 由香
専門分野
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本美容内科学会評議員
日本抗加齢学会正会員
経歴

メンズクララ院長、医療法人Clara理事長
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て、現職。
医師は客観的な事実を監修しており、特定の商品をおすすめするものではありません。

小学生のお子さんが、自分の毛を気にしはじめた。キッズ脱毛という言葉は見かけるけれど、何歳から受けられるのかはどこにも書いていない。調べるほど「子どもに脱毛はダメ」という記事も出てきて、余計に迷う——この記事は、そこで止まっている保護者の方に向けています。

先にお伝えしておきたいことがあります。年齢で線を引くという判断のしかたを、診察室では使っていません。 カウンセリングで見ているのは、毛の色と太さ、その日の肌の状態、そして本人が困っているかどうかです。なぜそうなるのか、実際に何を確認しているのかを順番に説明します。

結論
  • 脱毛を受けられる年齢の下限は、どこにも決められていません。 日本でも英国でも、脱毛に年齢の下限を定めた公的な取り決めが見当たらないためです。
  • 医療機器の公式文書には「妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用」という見出しがあるのに、本文は妊婦のことしか書いていません。小児についての注意も、年齢の下限も、一言も定められていないのです。
  • ですから「何歳から」は、公的な線引きではなく施設ごとの方針です。「◯歳から」と書いてあるページを見つけたら、それはその施設の受け入れ条件だと考えてください。
  • カウンセリングで実際に見ているのは、毛の色と太さ・肌が日焼けしていないか・本人が気にしているか・その施設の受け入れ条件の4点です。記事内では判断材料6項目の表にしました。

読みたいところから読めます。

今の状況読む場所
何歳から受けられるか知りたい子どもの脱毛は何歳から?
小学生の子が気にしていて迷っている小学生でも受けられる?
子どもに脱毛はダメと聞いて不安ダメと言われる理由は?
まだ脱毛はさせず自己処理でしのぎたい自己処理でしのぐなら?
医師の考えを直接聞きたい医師に聞いてみた
その他の疑問があるよくある質問

子どもの脱毛は何歳から?

脱毛に何歳からを決めた文書は無かった。日本の医療機器の公式文書と美容医療診療指針、英国NHS2病院の患者向け案内のいずれも年齢の記載は0回。電子添文は「妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用」という見出しを持つが、本文は妊婦のことしか書いていない

図:日本と英国の4つの公的な文書に書かれている年齢の記載。出典は図中に記載しています。

「何歳から」の答えは、どこにも決められていません。 これは調べ方が足りないという話ではなく、日本でも英国でも、脱毛に年齢の下限を定めた公的な取り決めが存在しないのです。

確認したもの年齢の下限
GentleMax Pro の電子添文(医療機器の公式文書)記載なし
美容医療診療指針(5つの学会がまとめたもの)記載なし
英国NHS リーズ教育病院の患者向け案内記載なし
英国NHS サンドウェル病院の患者向け案内記載なし

そのうえで、実際に何歳で脱毛を受け始めているかを調べた公的な調査はあります。国民生活センターが2017年に公表した調査(脱毛経験者1,000人)では、初めて脱毛を受けた年齢はこう分布していました。

初めて脱毛を受けた年齢割合
10歳未満0.8%
10歳代7.8%
20歳代38.1%
30歳代25.0%
40歳代以上28.3%

10歳代までに始めた人は合わせて8.6%でした。ただしこれは「そうしてよい」という基準ではなく、「そうしている人がどれだけいたか」という実態です。周りがいつ始めているかを知る材料にはなりますが、受けてよい年齢の根拠にはなりません。 実際に私が診療で使うのも、この数字ではありません。 ご相談のときも、この数字は判断の基準としてではなく、「珍しいことではないが多数派でもない」という温度感の共有として使っています。

カウンセリングでも「何歳から受けられますか」というご相談は多くいただきます。そのとき私がお答えしているのは、年齢の数字ではなく、この後に挙げる6つの確認項目です。年齢だけで決まる話ではない、というところから始めさせてください。

電子添文は「小児等への適用」の見出しを持ちながら、小児について書いていない

医療機器には、取扱説明にあたる公式文書(電子添文)があります。医療脱毛で広く使われているGentleMax Proのものには、こういう項目があります。

5.妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用 妊婦、胎児に対する安全性は確立されていないため、妊婦及び妊娠の疑いのある患者へは、慎重に使用すること。

見出しは「妊婦、産婦、授乳婦及び小児等」と4者を並べているのに、本文は妊婦のことしか書いていません。 小児について、避けるべきとも、慎重にとも、何歳からとも書かれていない。項目名だけがあって、中身が無い状態です。

これを書き漏らしと読むこともできますが、私は書ける根拠が無いのだと読むほうが正確だと考えています。というのも、同じ文書の他の項目は、驚くほど細かく条件を挙げているからです。

区分何が挙げられているか項目数
使ってはいけない皮膚悪性腫瘍がある部位/755nm・1064nmの光に過敏な患者・光線過敏症/単純ヘルペスの活動性病変がある部位/開放創・感染状態にある皮膚/刺青を入れた皮膚5
慎重に使う日光皮膚炎/光過敏性発作の病歴/抗凝固剤・鉄剤・特定のサプリメント摂取中/全身状態不良/ケロイド・肥厚性瘢痕/フィラー注入部位/金属系インプラント/黒子のある部位/眼窩縁9

合わせて14項目が名指しされていて、そのどれ一つとして年齢ではありません。 皮膚の状態、飲んでいる薬、体内に入っている金属、ほくろの位置まで指定しているのに、年齢だけが出てこない。この対比が、「年齢で線を引く根拠が公的には存在しない」ことのいちばん分かりやすい証拠だと思います。

「年齢」という語は公的資料に1回も出てこない

「年齢」という語は、日本の2文書とも0回。「小児」はこの公式文書の見出しに1回だけで、本文には出てきません。「未成年」「保護者」「子ども」も、日本語の2文書ではいずれも0回でした。英国NHSの2病院の案内も同じで、患者の年齢を指す “age”、”18″、”child”、”parent” はどれも出てきません。

この指針には「歳」という字が15回出てきますが、内訳を1件ずつ確認したところ、すべて日光黒子・太田母斑・フィラー・乳癌検診・多汗症についての記述で、脱毛の年齢とは無関係でした。

つまり「◯歳から受けられます」と書いてあるページを見つけたときは、それが公的な基準なのか、その施設の受け入れ条件なのかを分けて読んでください。ほとんどの場合は後者です。施設ごとに違うのは、どれかが間違っているからではなく、そろえるべき共通の基準が存在しないからです。

ですので、診察でも年齢を判断の中心には置いていません。実際に見ているのは、次の6つです。

小学生でも受けられる?

年齢の代わりに見る6つのこと。診察で医師が確認するのは毛の色と太さ、肌が日焼けしていないか、テスト照射をするか、説明が本人にもされるかの4つ。保護者が確認するのは本人が気にしているか、施設の受け入れ条件の2つ

図:年齢ではなく、この6つで判断します。出典は図中に記載しています。

受け入れるかどうかは施設ごとの判断なので、「小学生だから受けられる/受けられない」という答えはこの記事では出せません。 代わりに、カウンセリングで実際に見ている項目を6つに整理しました。年齢を数えるより、この6つを確認するほうがはるかに確実です。 患者さんとご家族に対しては、この順番でお話ししています。実際に施設へ確認するときの聞き方は、対談の最後にまとめた6つの質問にそのまま使えます。

#見るところ根拠になっている記載保護者の方の確認のしかた
1毛の色と太さ国内の指針は「白髪や金髪に対するレーザー脱毛の効果はほとんどない」と明記。NHSの案内も、白髪・グレー・金髪には効果がなく、細い産毛は対象になりにくいとしている気にしている毛が、光の反応する濃さ・太さか
2肌が日焼けしていないかNHSの案内は「日焼けした肌は治療できない」とし、日焼けも日焼けサロンもセルフタンニングも施術の最低6週間前から避けるよう求めている。日光皮膚炎は「皮膚の色調が元に戻るまで治療は避けること」屋外の部活動やプールの時期と重ならないか
3テスト照射をするか「小範囲にテスト照射を行い、1-2週間後の照射部位の反応を確認した上で最適な出力を決定し、本照射へ進むこと」いきなり全体に照射しない手順になっているか
4説明が本人にもされるか複数回必要なこと・効果は永久的でないこと・多毛化や硬毛化が起こりうることを「治療前に患者に十分に説明し、同意の上で治療を行うこと」保護者だけでなく、受ける本人にも説明があるか
5本人が気にしているか医学的な基準ではない(どの文書にも記載なし)保護者が気になっているのか、本人が困っているのかを分ける
6施設の受け入れ条件施設ごとの運用(どの文書にも記載なし)下限年齢・保護者の同伴・同意書の扱いを事前に確認する

1から4は診察でこちらが確認すること、5と6は保護者の方に確認していただくことです。

とくに1と2は、年齢よりはるかに具体的な材料です。医療脱毛は毛に含まれる色素(メラニン)に光が吸収されて熱に変わる仕組みなので、色の薄い毛には反応しません。 産毛が気になっているお子さんの場合、年齢に関係なく「今は効きにくい」という説明になることがあります。受けられるかどうか以前に、効くかどうかという問題です。私はここを最初にお伝えするようにしています。期待して来院されたのに反応しにくい毛だった、という食い違いがいちばん残念だからです。

同じ理由で、日焼けして肌の色が濃くなっていると、毛ではなく皮膚のほうが光を吸収してしまいます。 学校のプールや屋外の部活が続く時期は、大人より条件が悪くなりがちです。実際、カウンセリングの予約もこの時期はご相談だけにして、照射は秋からという形をおすすめすることがあります。実際、夏に来院された方に「秋まで待ちましょう」とお伝えすることは珍しくありません。年齢より季節のほうが、受けられるかどうかを分けていると言ってもいいくらいです。

5を医学的な項目の後ろに置いたのは、これが医学の基準ではないからです。それでも判断材料から外さなかったのは、脱毛が痛みを伴い、複数回の通院が必要で、途中でやめると中途半端に終わるからです。本人が納得しないまま始めても、続きません。 ここは診療のなかでいちばん強く感じているところで、患者さんが小さいほどはっきり出ます。

【子どもの脱毛を考えています】をメンズ脱毛クリニックの女性医師に聞いてみた!

「子どもの脱毛を考えている」と相談されたら、まず何を確認しますか?

編集部編集部
お子さんの脱毛について、保護者の方からご相談を受けることはありますか。
神林由香 医師神林由香 医師
あります。そのときにまず伺うのは、年齢ではなく「誰が、どの毛を、どう困っているか」です。本人が学校で気にしているのか、保護者の方が気になっているのか。困っている部位はどこか。そこが分からないと、そもそも脱毛が答えなのかどうかも判断できません。 メンズクララでは、年齢だけで受け入れを決めず、毛の色・肌の状態・ご本人の気持ちを初回のカウンセリングで確認してから判断しています。
編集部編集部
年齢は最初に聞かないのですね。
神林由香 医師神林由香 医師
伺いはしますが、判断には使いません。公的な文書が年齢で線を引いていないので、年齢だけを伺っても材料にならないんです。 機器の公式文書には「小児等への適用」という項目があるのに、中身は妊婦さんのことしか書かれていない。使ってはいけない条件と慎重に使う条件は14項目も並んでいるのに、そこに年齢は入っていません。ですので私が見るのは、毛の状態と肌の状態、それから本人の意思です。
編集部編集部
ご相談を受けて、脱毛を勧めないこともありますか。
神林由香 医師神林由香 医師
あります。産毛を気にされている場合は「今のこの毛には反応しにくいです」とお伝えしますし、日焼けが強い時期なら時期をずらしていただきます。「受けられません」ではなく「今はこの条件だから、こうしましょう」と具体的にお話しするようにしています。 保護者の方は、断られること自体より、理由が分からないことを不安に感じておられるので。
編集部編集部
保護者の方が知りたいのは、結局どこを見ればいいかだと思います。
神林由香 医師神林由香 医師
そうですね。私がカウンセリングでお伝えしているのは、「今日の毛と肌を見て決めます」ということです。年齢を伺って判断できるなら簡単なのですが、その根拠が無い以上、実際に見るしかありません。患者さんご本人にも、その場で毛を見ながら説明します。

年齢が低いと肌への影響は変わりますか?

編集部編集部
「子どもは肌が弱いから危険」という説明をよく見かけます。
神林由香 医師神林由香 医師
その説明は、確認した4つの文書のどこにも書かれていません。 年齢によってリスクが変わるという記載が無いんです。ですので私は「子どもだから危険」とも「子どもでも同じ」とも、根拠を持って申し上げることはできません。ここを断言している記事を見かけたら、何を根拠にしているのかを確かめたほうがいいと思います。 メンズクララでは、初めての方には小範囲のテスト照射をして、反応を確かめてから範囲を広げることにしています。
編集部編集部
では、何を見て判断されるのですか。
神林由香 医師神林由香 医師
年齢ではなく、その日の肌です。 日焼けしていないか、湿疹や傷がないか、ほくろの位置はどうか。これは大人でも同じで、その文書が挙げている14項目は、そのまま診察の確認項目になります。加えてその文書は「初回治療は低めの出力から開始すること」「小範囲にテスト照射を行い、1-2週間後の反応を確認してから本照射へ進むこと」と手順まで書いています。年齢で決めるのではなく、テスト照射の反応を見て決める。 これが文書に書かれているやり方です。
編集部編集部
テスト照射は、お子さんの場合はとくに大事になりますか。
神林由香 医師神林由香 医師
大事だと考えています。ただしそれは「子どもだから」ではなく、初めて受ける方だからです。痛みがどのくらいか、その子がどう感じるかは、当ててみないと分かりません。小さく試して、本人の反応を確かめてから広げる。 手順としてはこれに尽きます。
編集部編集部
保護者の方から「うちの子は肌が弱くて」と言われることもありそうです。
神林由香 医師神林由香 医師
よく伺います。その場合も、弱いと感じている根拠を具体的に教えていただきます。湿疹が出やすいのか、日焼けしやすいのか、金属でかぶれるのか。「肌が弱い」という言葉のままでは診療の判断に使えないので、実際にあった出来事に翻訳していただくようにしています。

本人が乗り気でない場合はどうしますか?

編集部編集部
保護者の方が希望していて、お子さんが乗り気でないケースもありそうです。
神林由香 医師神林由香 医師
そのときは始めません。 脱毛は1回で終わらず、痛みもあります。公式文書にも「複数回の治療が必要であり、期待される効果は永久的なものではないこと」を治療前に説明して同意の上で行うこと、と明記されています。この「同意」は、受ける本人のものです。 メンズクララでは、施術を受けるご本人に直接説明し、ご本人が納得しない限り始めないことにしています。
編集部編集部
説明はお子さん本人にもされるのですか。
神林由香 医師神林由香 医師
します。何をするのか、どのくらい痛いのか、何度も来ることになること、途中でやめたらどうなるのか。本人が分かる言葉で説明して、本人が「やる」と言わない限り進めません。 保護者の方には申し訳ないのですが、ここは譲れないところだと考えています。
編集部編集部
逆に、本人が強く希望しているときはどうですか。
神林由香 医師神林由香 医師
それでも同じ順番で説明します。やりたい気持ちが強いほど、思ったとおりにいかなかったときの落差が大きいので。「1回では変わらないこと」「毛が薄くなるのであってゼロになるとは限らないこと」を先に伝えておくと、途中で不安になりにくいです。期待していることをそろえる時間のほうが、実際の施術より大事だと思っています。
編集部編集部
保護者の方とお子さんで意見が違うとき、板挟みになりませんか。
神林由香 医師神林由香 医師
なります。ただ、そこで無理に進めても続かないので、私は「今日は決めなくていい」とお伝えすることが多いです。しばらく様子を見て、本人が「やっぱりやりたい」と言ったときに来院していただければいい。急いで始めて途中で止まるより、そのほうが結果的に近道だと考えています。

施術先へ相談するときは、次の6つを聞けば足ります。

  • 何歳から受け入れていますか。その年齢にしている理由も教えてください
  • 保護者の同伴と同意書は必要ですか。施術室に一緒に入れますか
  • テスト照射はしますか。本照射までどのくらい空けますか
  • 説明は本人にもしてもらえますか
  • 途中でやめたいと本人が言った場合はどうなりますか
  • 途中でやめた場合、消化していない回数分の費用はどうなりますか

子どもに脱毛はダメと言われる理由は?(デメリットとして挙がる4つ)

医療機関とエステサロンの違い。医療機関は毛を作る組織を壊せる医行為で、医師がいる場所でしか行えない。エステサロンは一時的な除毛・減毛までで、毛を作る組織は壊せない。効果の強弱ではなく、してよいことの範囲が違う

図:してよいことの範囲が、法律で分かれています。出典は図中に記載しています。

「子どもに脱毛はダメ」という説明は、検索するとよく出てきます。ただし、そこで挙げられる理由の多くは、根拠の記載が見当たりません。 よく言われる4つを、実際の記載と突き合わせます。

よく言われる理由実際のところ
成長期は毛が生え変わるので効果が出にくい根拠は見当たりません。 成長期と脱毛効果を結びつけた記述は、4つの文書のどこにもありません
子どもは肌が弱いのでリスクが高い根拠は見当たりません。 年齢によってリスクが変わるという記述がありません
毛が濃くなることがある書かれています。 ただし年齢の話としてではありません(詳しくはこちら)
一度受けても永久には終わらない書かれています。 医療機器の公式文書に明記されています(下記)

4つ目は、はっきり書かれています。「複数回の治療が必要であり、期待される効果は永久的なものではないこと」を、治療前に説明するよう求めているのです。さらに、この機器の使用目的そのものが「長期的な減毛」であって、「永久脱毛」とは書かれていません。1回で終わるものでも、一生毛が生えてこなくなるものでもない、というのが公式の位置づけです(詳しくは永久脱毛の定義はこちらで整理しています)。

では、実際に挙げられている注意点は何かというと、合併症です。国内の指針は、レーザー脱毛後の一般的な合併症として「毛囊炎、熱傷(水疱・痂皮)、炎症後色素沈着、色素脱失、瘢痕など」の発生が報告されているとしています。毛囊炎(毛穴の炎症)については脱毛後の毛嚢炎についてで詳しく整理しました。これらは年齢に関係なく起こりうるものとして書かれているもので、「子どもだから起こる」ものではありません。

ここでもう一つ、判断材料になる数字があります。先ほどの調査では、脱毛でやけど等の症状が生じた255人のうち、事前に副作用の説明を受けていた人は26.3%でした。7割以上が、リスクの説明を受けないまま施術を受けていたことになります。さらに、症状が出たあとどこにも申し出ていない人が33.3%いました。

診察室の感覚としても、ここは近いものがあります。「子どもだからダメ」かどうかより、説明を受けたか、症状が出たときにすぐ連絡できる相手がいるかのほうが、実際に起きているトラブルには直結しています。お子さんの場合は本人が言い出しにくいぶん、保護者の方が「何かあったらここに連絡する」を先に決めておくほうが確実です。私たちもカウンセリングでは、症状が出たときの連絡先と、診てもらえる時間帯を必ずお伝えしています。

なお、同じ調査は医療機関とエステの線引きも示しています。毛乳頭や皮脂腺開口部などを破壊する行為は「医行為」に当たるため医療機関でしか行えず、エステでできるのは一時的な除毛・減毛にとどまる、という区別です。どちらを選ぶにしても、症状が出たときに医師の診察をすぐ受けられるかどうかは、事前に確認しておく項目になります。

毛が濃くなることはある?

「毛が濃くなることがある」は、記載があります。 ただし、子ども特有のリスクとしてではなく、年齢に関係なく起こりうることとして書かれています。

電子添文は、その他の有害事象として「照射部位及び照射周囲部の多毛化や硬毛化」を挙げ、さらに「多毛化や硬毛化を含む有害事象が発生する可能性があることを治療前に患者に十分に説明し、同意の上で治療を行うこと」と求めています。説明すべき項目として、名指しされているわけです。

この指針の書き方はもっと率直です。硬毛化について「発生原因が明確ではなく対処方法も確立されておらず、好発部位を把握したうえで必要に応じインフォームド・コンセントに追加すべきである」としています。英国NHSリーズ教育病院の案内にも、副作用の項に「毛の増加がまれに報告されている」という一文があります。

注目していただきたいのは、「原因も対処法も確立していない」と正直に書いたうえで、説明して同意を得るべき項目に加えるよう求めているところです。これは「起こらない」でも「気にしなくていい」でもなく、起こりうるが説明しきれないので、事前に伝えておくべきことという扱いです。

ですからこの論点は、「子どもは毛が濃くなるからやめたほうがいい」ではなく、「この説明を先にしてくれる施設かどうか」という見方で使うのが正しいと考えています。カウンセリングで多毛化・硬毛化の説明があるかどうかは、そのまま施設の姿勢を測る材料になります。 私は、この説明をしない施設はおすすめしません。 私たちも必ずお話ししますし、聞かれるまで説明しない施設があるなら、他の説明も省かれている可能性を疑ったほうがいいと思います。

脱毛せずに自己処理でしのぐなら?

いますぐ脱毛はさせない、という判断も当然あります。その場合の自己処理について、日本の文書は何も書いていません。 触れられているのは施術を受ける人の準備だけで、家庭でどう処理するかの指示はありません。

一方、英国NHSの病院が患者に配っている案内は、「剃る」と「抜く」を明確に分けています。 子ども向けの記載ではありませんが、将来その子が施術を受ける場合の前提として知っておく価値があります。

方法施術を受けるまでの扱い
剃る(カミソリ・電気シェーバー)施術の1〜2日前までなら差し支えない。施術と施術の間も、肌が耐えられるなら可
除毛クリーム施術の2週間前からは避ける。それ以外の期間は肌が耐えられるなら可
毛抜き・ワックス・脱色コース開始の8週間前から避け、コース中はずっと避ける(日本の公式文書も治療の6週間以内は不可としている)

つまり、将来的に脱毛を考えているなら、抜く方法だけは早めにやめておくのが合理的です。 公式文書の一文は「治療部位は処置前に剃毛し、清潔かつ乾燥した状態に保つこと。治療の6週間以内にピンセットやワックスによる脱毛は行わないこと」となっていて、同じ一文の中で、剃ることは求められ、抜くことは期間を区切って制限されています。 剃るのと抜くのは扱いが正反対だ、と覚えておいてください。

実際、来院された方に前回いつ抜いたかを伺うと、「毛抜きなら毛が減ると思っていた」という答えが返ってくることがあります。抜いてしまうと、光が狙う目印そのものが無くなります。 お子さんが自分で処理を始めている場合は、ここだけ先に伝えておくと後で困りません。実際、来院された方に前日までの処理をスタッフが確認するのは、この行き違いを防ぐためです。

もう一つ、いま始められることがあります。日焼け対策です。 NHSの案内は、施術を受ける人に対して香料のないSPF50の日焼け止めを日常的に使うよう求め、日焼けした肌は治療できないとしています。日焼けは色が戻るまで待つことになり、そのあいだ施術を受けられません。将来を考えているなら、日焼け対策は今日から始められる唯一の準備です。実際に、来院のたびに日焼けの有無は必ず確認しています。

なお、家庭用の脱毛器や子ども向けをうたう脱毛クリームの製品名は、この記事では挙げません。 家庭用機器は医療機器の公式文書の対象外で、効果や安全性を同じ土俵で確認できないためです。

子どもの脱毛のよくある質問

「キッズ脱毛」「ジュニア脱毛」という呼び方も見ますが、何が違うのですか?

呼び方が違うだけで、公的に定義された区分ではありません。 これまで見てきたとおり、年齢そのものを線引きする公的な基準はどこにもなく、「キッズ脱毛」「ジュニア脱毛」も各施設が使っている名称です。呼び方に惑わされず、この記事で紹介した6項目(毛の色と太さ・肌の状態・テスト照射・説明と同意・本人の意思・施設の受け入れ条件)で確認することをおすすめします。

子どもの脱毛に保険は使えますか?

見た目を整える目的の施術は、一般に自由診療です。脱毛は美容医療の一部として扱われており、確認した文書のどこにも保険の記載はありません。ただし、毛の量や生え方そのものに気になる変化がある場合は話が別で、そのときは美容目的の施設ではなく皮膚科を受診してください。保険が使えるかどうかは、施術の名前ではなく症状の診断で決まります。迷ったら、まず皮膚科で診てもらってから考えるという順番をおすすめします。私も、気になる症状があるお子さんについては先に診断をつけていただくようご相談しています。

保護者の同伴は必要ですか?

医療脱毛側の文書には、保護者についての記載が1回もありません。 一方、エステの光脱毛については、一般社団法人日本エステティック振興協議会の「美容ライト脱毛自主基準」に「未成年者の脱毛トリートメントは、親権者の同意を得てから行う」という条項があります(同センターの報告に転載)。また英国NHSの病院の案内は、レーザー安全規則により、家族や友人は施術室に同伴できないとしています。同伴と同意は別の話で、しかも施設ごとに運用が違います。予約前に必ず確認してください。私たちも、初回は保護者の方と一緒に来院いただくようご案内しています。

痛みは大人と違いますか?

年齢によって痛みが違うという記載は、どの文書にもありません。 書かれているのは出力と手順の話で、公式文書は「初回治療は低めの出力から開始すること」「小範囲にテスト照射を行い、1-2週間後の反応を確認してから本照射へ進むこと」を求めています。英国NHSの病院の案内は局所麻酔を提供しないと明記したうえで、痛みがつらい場合は担当者に鎮痛について相談できるとしています。痛みへの対応は年齢ではなく、出力・冷却・鎮痛の扱いの問題です。お子さんの場合は、痛かったら手を挙げてよいと先に伝えておくだけでも違います。私たちもスタッフから本人に直接そう伝えるようにしています。

大人になってから受け直す必要はありますか?

機器の公式文書は「複数回の治療が必要であり、期待される効果は永久的なものではないこと」を治療前に説明するよう求めています。一方で同じ指針は、最終治療から平均11.5年追跡できた173人のうち152人(87.9%)で脱毛状態が維持されていたという報告を紹介しています。永久ではないが、長く続く人もいるというのが実際のところです。詳しくは永久脱毛の定義はこちらで整理しています。

まとめ

  • 脱毛を受けられる年齢の下限は、公的には決められていません。「◯歳から」は施設ごとの受け入れ条件です
  • 年齢の代わりに見るのは、毛の色と太さ・肌の日焼け・テスト照射・ご本人への説明と同意です
  • 毛が濃くなる(多毛化・硬毛化)ことは年齢に関係なく起こりうるので、事前に説明してくれる施設を選びます
  • まだ始めないなら、毛抜きは避けて剃る方法にし、日焼け対策を続けておきます

サイトによって「何歳から」の答えが違って迷ったら、それは基準の違いではなく施設の条件の違いだと考えてください。気になることは、保護者の方とご本人でカウンセリングに行き、その場でまとめて確認するのがいちばん確実です。

施術後の肌トラブルが心配な場合は脱毛後の毛嚢炎についてを、「永久脱毛」という言葉の意味については永久脱毛の定義はこちらを参考にしてください。

本記事で扱う医療脱毛(レーザー脱毛)は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。費用は全額自己負担となり、料金や回数は医療機関ごとに異なります。なお、脱毛の効果・必要な回数・副作用の現れ方には個人差があります。

参考文献

資料名発行元確認した記載版・確認日
長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro 電子添文独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用」の項に小児の記載が無いこと/禁忌5項目・使用注意9項目に年齢が含まれないこと/使用目的が「長期的な減毛」であること/複数回必要・効果は永久的でないことの説明義務/多毛化・硬毛化を含む有害事象の説明義務/有害事象の一覧/テスト照射と初回の低出力/処置前の剃毛と治療6週間以内の抜毛制限/「年齢」0回・「小児」1回(見出しのみ)第7版、2025年9月作成/2026-09-07確認
美容医療診療指針(令和3年度改訂版)日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS)、日本形成外科学会、日本皮膚科学会レーザー脱毛の機序(メラニンが標的)と「白髪や金髪に対する効果はほとんどない」/レーザー脱毛後の一般的な合併症/硬毛化は原因不明・対処法未確立でインフォームド・コンセントに追加すべきであること/11.5年追跡173人中152人(87.9%)で維持/「年齢」「小児」「未成年」「保護者」いずれも0回令和3年度改訂版(日本美容外科学会会報 2022 Vol.44 特別号)/2026-09-07確認
Laser Hair Reduction(患者向け案内 LN001667)The Leeds Teaching Hospitals NHS Trust(英国)白髪・グレー・金髪には効果が無く細い産毛は対象になりにくいこと/同意書の署名と、どの部位を治療するかは施術者と患者の合意であること/レーザー安全規則により家族・友人は施術室に同伴できないこと/初回前のテストパッチ/日焼けした肌は治療できず最低6週間前から回避・SPF50の日常使用/除毛クリームは2週間前から・毛抜き・ワックス・脱色は8週間前から回避しコース中も継続/施術1〜2日前までの剃毛は可/局所麻酔は提供しないが鎮痛は相談可/毛の増加がまれに報告されていること/年齢・18歳・child・parent の記載が無いこと5th Edition Version 1、Publication date 01/2026(Review date 01/2029)/2026-09-07確認
Laser hair removal(患者向け案内 ML3866)Sandwell and West Birmingham Hospitals NHS Trust(英国)施術と施術の間の自己処理(剃る・トリム・除毛クリームは肌が耐えられるなら可/ワックス・スレッディング・電動脱毛器・毛抜き・脱色・電気脱毛は不可)/年齢・保護者の記載が無いことML3866、Issue Date November 2012(⚠ Review Date November 2014・レビュー期限切れのため、上記Leedsで裏の取れる論点の補強にのみ使用)/2026-09-07確認
なくならない脱毛施術による危害—エステでも医療機関でも危害が発生しています—独立行政法人 国民生活センター初めて脱毛を受けた年齢の分布(n=1,000)/毛乳頭・皮脂腺開口部等を破壊する行為は医行為であり医療機関でしか行えないこと/やけど等の症状が生じた255人のうちリスクの説明を受けていたのは26.3%であること/症状が出てもどこにも申し出ていない人が33.3%であること/日本エステティック振興協議会「美容ライト脱毛自主基準」に未成年者は親権者の同意を得てから行うという条項があること2017年5月11日公表/2026-09-07確認

記事監修医師プロフィール

神林由香

医療法人社団Clara理事長
メンズクララ院長/医師

神林由香

日本皮膚科学会正会員。日本抗加齢学会正会員。メンズヘルス医学会会員。 美容外科専門医(JSAS)。
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。
東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て現職。