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ヒゲ脱毛で毛嚢炎になったら?何日で治るか・ひどい時の対処

医療法人Clara理事長神林由香
【記事監修】神林 由香
専門分野
日本皮膚科学会会員
日本美容皮膚科学会会員
日本美容内科学会評議員
日本抗加齢学会正会員
経歴

メンズクララ院長医療法人Clara理事長
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て、現職。
医師は客観的な事実を監修しており、特定の商品をおすすめするものではありません。

ヒゲ脱毛のあとに、赤いブツブツや白いふくらみが出てくることがあります。鏡を見て「失敗したのでは」「このまま跡が残るのでは」と不安になる方もいます。

この記事では、医療機器の取扱説明にあたる公式文書(電子添文)と、5つの学会がまとめた診療指針が、毛嚢炎(もうのうえん)をどう位置づけているかを軸に整理します。症状が出ている場合は、この記事を読んで自己判断するより先に、施術を受けた医療機関へ連絡してください。

結論
  • 毛嚢炎は、電子添文と学会の診療指針のどちらにも、レーザー脱毛後に起こりうる合併症として名前が挙げられています。異常な事態が起きたわけではありません。
  • ただし「何%で起きるか」という発生率の記載は、確認した資料には見当たりませんでした。数字を探しても出てこないのは、そもそも公表されていないためです。
  • 何日で治るかの公的な基準もありません。日数を目安にするより、症状の変化を施術先に伝える方が確実です。
  • 自己判断で潰さないでください。 気になる症状があるときは、まず施術を受けた医療機関へ連絡します。
⚠ 今の状態をセルフチェック
次のいずれかに当てはまる場合は、様子を見ずに施術を受けた医療機関へ連絡を推奨します。
  • 痛み・熱感・腫れが強い、または強くなっている
  • 照射した範囲を超えて広がっている
  • 膿が出ている、しこりのように硬い
  • 発熱など全身の症状がある
  • 数日たっても改善しない
当てはまらない場合も、気になる変化があれば連絡して確認する方が確実です。

読みたいところから読めます。

今の状況読む場所
今できていて不安毛嚢炎は異常なことなのか
確率を知りたいなる確率は?
何日で治るか知りたいどのくらいで治まる?
ひどくて心配受診の目安
ニキビと区別できないニキビとの違い

毛嚢炎は「異常なこと」なの?

結論から言うと、毛嚢炎はレーザー脱毛のあとに起こりうる合併症として、公的な資料に名前が挙がっています。想定されていない事態が起きたわけではありません。

毛嚢炎は、毛穴(毛包)の部分に炎症が起きた状態を指します。見た目は赤いブツブツや、先端が白っぽくなったふくらみとして現れることが多く、ニキビと見分けがつきにくいこともあります。

「あらかじめ知られている」ことと「放っておいてよい」ことは別です。位置づけを知ったうえで、症状は施術先に伝えてください。

電子添文の有害事象に毛嚢炎が挙げられている

医療機器には、取扱説明にあたる公式文書(電子添文)があります。医療脱毛で使われるGentleMax Proの電子添文を確認すると、「不具合・有害事象」の項目に次の記載があります。

(3)その他の有害事象

・熱傷、冷却剤による凍傷、水疱形成、痂皮形成、色素沈着、色素脱失、瘢痕形成、紫斑、紅斑、浮腫、掻痒感、毛孔一致性の炎症、毛嚢炎、照射部位及び照射周囲部の多毛化や硬毛化

「毛孔一致性の炎症」とは、毛穴の位置に一致して起きる炎症という意味です。毛嚢炎はその名前で明記されています。

同じ電子添文は、治療前に患者へ説明すべき事項として「レーザ脱毛により、照射部位及び照射周囲部の多毛化や硬毛化を含む有害事象が発生する可能性があること」を挙げています。つまり、起こりうる事象として事前に説明されるべき内容として扱われています。

学会指針も「一般的な合併症」として挙げている

日本皮膚科学会など5つの学会がまとめた「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」にも、次の記載があります。

レーザー脱毛後の一般的な合併症として,毛囊炎,熱傷(水疱・痂皮),炎症後色素沈着,色素脱失,瘢痕などの発生が報告されている

※ 指針の原文では「毛炎」と表記されています。この記事では読みやすさのため「毛嚢炎」で統一しています。

機器の公式文書と、学会がまとめた診療指針。性格の違う2つの資料が、どちらも同じ位置づけをしていることになります。

資料毛嚢炎の扱い
GentleMax Pro 電子添文(PMDA)「その他の有害事象」に毛孔一致性の炎症・毛嚢炎として記載
美容医療診療指針(5学会)「レーザー脱毛後の一般的な合併症」として記載

ヒゲ脱毛で毛嚢炎になる確率は?

この記事で確認した電子添文と診療指針には、毛嚢炎の発生率を示す記載は見当たりませんでした。

検索すると「◯%で起きる」という数字を見かけることがありますが、少なくとも上の2つの公的資料には、頻度の数値は書かれていません。この記事では、根拠のない数字を作らないという判断で、確率を示しません。

代わりに言えることは次の2つです。

  • 一般的な合併症として名前が挙がっている(=起こりうるものとして知られている)
  • どのくらいの頻度で起きるかは、公表された数値としては確認できない

確率を知りたい理由によって、見るべきものは変わります。

確率を知りたい理由数字の代わりに見るもの
自分に起きたのは普通のことなのか公的資料に挙げられている事象である(前の章のとおり)
これから受けるかどうかの判断材料施術先が起こりうる事象をどう説明するか、起きたときにどう対応するか

前者であれば、答えはすでに出ています。後者であれば、数字よりも施術先の説明と対応の体制を確認する方が実用的です。

【毛嚢炎ができたと連絡が来たら】をメンズ脱毛クリニックの女性医師に聞いてみた!

「ブツブツができた」と相談されたら、まず何を確認しますか?

編集部編集部
施術後にブツブツができた、と連絡が来たとき、最初に確認することは何ですか。
神林由香 医師神林由香 医師
いつ・どこに・どんな症状が出ているかの3点です。施術日から何日目か、照射した範囲の中なのか外なのか、赤みだけなのか、膿を持っているのか、痛みや熱感があるのか。写真があれば、それも見せていただきます。同じ「ブツブツ」でも、確認すべきことが変わります。
編集部編集部
患者さん側は、何を準備しておくとよいですか。
神林由香 医師神林由香 医師
施術日と、症状に気づいた日をメモしておいてください。あとは触らずに、同じ場所を同じ明るさで撮った写真があると助かります。日を追って撮っておくと、広がっているのか落ち着いてきているのかが分かります。

ヒゲは他の部位より起きやすいですか?

編集部編集部
ヒゲで毛嚢炎の相談が多い、という印象はありますか。
神林由香 医師神林由香 医師
ヒゲは毛が太くて密度が高く、加えて日常的にシェービングをする部位です。皮膚に細かい傷がつきやすく、マスクや汗で蒸れやすい条件もそろいます。ただ、「ヒゲだから何%多い」という数字を私の側で持っているわけではありません。部位の条件として起こりやすい要素が重なっている、という説明にとどめています。
編集部編集部
施術後のシェービングはどうすればよいですか。
神林由香 医師神林由香 医師
症状が出ているときに、その上からカミソリを当てるのは避けてください。炎症のある皮膚をさらに削ることになります。 次の施術に向けて自己処理が必要な場合も、まず状態を見せていただいてから方法を相談します。

跡が残ることはありますか?

編集部編集部
「跡が残るのでは」という不安の声が多いです。
神林由香 医師神林由香 医師
そこが一番心配される点だと思います。参考になる記載として、電子添文の臨床成績には、報告された有害事象について「フォローアップ完了時に回復していることが確認された事象であり、永続的な事象は報告されなかった」と書かれています。ただしこれは前の世代の機器で、脇と脚を対象にした評価なので、ヒゲにそのまま当てはめることはできません。
編集部編集部
一方で、瘢痕(はんこん)も有害事象に挙がっています。
神林由香 医師神林由香 医師
はい。だからこそ掻いたり潰したりしないことが大事なんです。炎症だけで済むはずのところに、自分で傷を作ってしまうと話が変わります。跡のことが心配なら、なおさら触らずに相談してください。

何日くらいで治まる?

「◯日で治る」という公的な基準は、確認した資料の中にはありませんでした。 電子添文にも診療指針にも、毛嚢炎が何日で治まるかという記載はありません。

そのため、この記事では日数を示しません。数字を示すことはできますが、根拠のない目安を信じて様子を見続けると、受診が遅れる方向にしか働かないためです。

日数の代わりに、次の変化を見てください。

見るところ落ち着いてきているとき施術先へ連絡するとき
範囲数が増えていない照射範囲を超えて広がっている
症状赤みが薄くなってきた痛み・熱感・腫れが強くなる
経過日ごとに変化が小さくなる数日たっても悪化している

判断に迷う場合は、日数を待たずに連絡してください。 「何日たったか」より「どう変化しているか」の方が、施術先に伝わる情報になります。

ひどいときはどうする?受診の目安

次のような症状があるときは、様子を見ずに施術を受けた医療機関へ連絡してください。 施術後の症状は、まずその施術を行った医療機関が経過を把握しているためです。

こんなとき理由
痛み・熱感・腫れが強い、または強くなっている炎症が進んでいる可能性がある
照射した範囲を超えて広がっている施術との関係を含めて確認が必要
膿が出ている、しこりのように硬い自宅での対処では判断できない
発熱など全身の症状がある皮膚だけの問題ではない可能性がある
数日たっても改善しない経過を見せて方針を決める段階

連絡がつかない場合や、施術先の診療時間外で症状が強い場合は、皮膚科など医療機関の受診を検討してください。判断に迷う状態を、自宅で長く抱えないことが大切です。

自己判断で潰さない・市販薬を使う前に相談する

膿が見えると潰したくなりますが、自分で潰さないでください。 電子添文は、開放創(皮膚が開いた傷)や感染状態にある皮膚を、機器を使用してはいけない対象として挙げています。つまり皮膚に傷や感染がある状態は、次の施術にも影響するということです。自分で傷を作ると、治るまでの時間も、次回の可否も、どちらも遠のきます。

市販の塗り薬についても、使う前に施術先へ相談してください。この記事で薬の名前や使い方を挙げないのは、症状の見立てによって適否が変わり、記事の情報で自己判断すべきではないためです。

毛嚢炎とニキビは何が違う?

見た目が似ているため、迷う方は多いです。ただし、この記事の情報で自己診断しないでください。 違いを知る目的は、区別することではなく、施術先に状況を正確に伝えるためです。

参考として、電子添文の臨床成績の安全性評価には、報告された有害事象として「ニキビの増悪」も挙げられています。つまり、もともとあったニキビが悪化するケースも報告されているということです。「毛嚢炎かニキビか」は、どちらか一方に決めつけられるとは限りません。

伝えるときは、次の情報をそのまま共有すれば十分です。

  • 施術日と、症状に気づいた日
  • 出ている場所(照射範囲の内か外か)
  • 症状の様子(赤みだけ・膿・痛み・熱感)
  • もともと同じ場所にニキビができやすいかどうか

なお、脱毛とニキビの関係そのものは別の論点です。毛が濃くなったように見える硬毛化については、効果・回数の考え方を詳しく見るで扱っています。

毛嚢炎を防ぐためにできることは?

完全に防ぐ方法は、公的資料には示されていません。そのうえで、電子添文が「施術できない状態」として挙げている条件を避けることは、患者側でもできます。

できること電子添文などの根拠
皮膚に傷・炎症がある状態で施術を受けない開放創、感染状態にある皮膚は禁忌
施術前後の自己処理の方法を施術先に確認する傷をつけない処理方法は施設ごとに案内がある
日焼けを避ける日光皮膚炎は皮膚の色調が元に戻るまで治療を避ける
症状が出たら触らない・潰さない開放創を作らない
気になる変化は早めに施術先へ伝える経過を把握している医療機関が判断できる

ヒゲは毎日のシェービングがあるぶん、皮膚に細かい傷がつきやすい部位です。施術後にいつからどう剃るかは、施術先の案内に従ってください。この点は施設ごとに方針が異なります。

ヒゲ脱毛そのものを迷っている場合は、ヒゲ脱毛を迷っている方へも参考にしてください。

ヒゲ脱毛と毛嚢炎のよくある質問

毛嚢炎があるとき、次の施術は受けられますか?

自己判断せず、施術先に状態を伝えて決めてください。電子添文は、開放創や感染状態にある皮膚を機器の使用対象から除いています。症状の程度によって判断が変わるため、予約を自分でキャンセルするか続けるかも含めて、先に相談するのが確実です。

硬毛化とは違うのですか?

別の事象です。毛嚢炎は毛穴の炎症で、硬毛化は照射した部位やその周囲の毛が太く見えるようになる事象です。電子添文では両方が別々に有害事象として挙げられています。硬毛化については効果・回数の考え方を詳しく見るで扱っています。

お風呂や剃毛はどうすればいいですか?

施術先の案内に従ってください。入浴や自己処理の可否・再開時期について、機器の電子添文には記載がありません。施設ごとの案内が判断の基準になります。症状が出ている場合は、その状態を伝えたうえで確認してください。入浴についてはお風呂はいつからかで詳しく整理しています。

家庭用脱毛器でも起きますか?

この記事で確認した資料は医療機関で使う機器のものなので、家庭用機器について同じことは言えません。家庭用機器の考え方は家庭用脱毛器についてはこちらで扱っています。

毛嚢炎は、公的な資料に名前が挙がっている合併症です。慌てる必要はありませんが、放置する必要もありません。 日数を数えるより、症状の変化を施術先に伝えてください。

参考文献

資料名発行元確認した記載版・確認日
長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro 電子添文独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)有害事象(毛孔一致性の炎症・毛嚢炎ほか)/禁忌(開放創、感染状態にある皮膚)/治療前の説明事項/臨床成績の安全性評価第7版、2025年9月作成/2026-09-06確認
美容医療診療指針(令和3年度改訂版)日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS)、日本形成外科学会、日本皮膚科学会レーザー脱毛後の一般的な合併症として毛囊炎ほかの記載令和3年度改訂版(日本美容外科学会会報 2022 Vol.44 特別号)/2026-09-06確認

記事監修医師プロフィール

神林由香

医療法人社団Clara理事長
メンズクララ院長/医師

神林由香

日本皮膚科学会正会員。日本抗加齢学会正会員。メンズヘルス医学会会員。 美容外科専門医(JSAS)。
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。
東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て現職。