日本美容皮膚科学会会員
日本美容内科学会評議員
日本抗加齢学会正会員
メンズクララ院長、医療法人Clara理事長
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て、現職。
医師は客観的な事実を監修しており、特定の商品をおすすめするものではありません。
脇の毛を減らせば、においも一緒に解決するのではないか。そう考えて脱毛を検討する方は少なくありません。反対に「脱毛すると臭くなる」という話を見て、不安になる方もいます。
この記事では、医療機器の取扱説明にあたる公式文書(電子添文)と、5つの学会がまとめた診療指針の原文に何が書かれているかを確認したうえで、脱毛で変わることと変わらないことを整理します。
- GentleMax Proの電子添文には、「汗腺」「腋臭」「多汗」という語が1回も出てきません(全文検索して確認)。使用目的は減毛など3つに限られています。
- 5学会の診療指針で脱毛は独立した章として扱われており、ワキガ(腋臭症)の治療としては挙げられていません。
- したがって、この記事では「脱毛でワキガが治る」とも「悪化する」とも書きません。どちらも公的資料に根拠がないためです。
- においが主な悩みなら、脱毛とは別の相談として医療機関に伝えてください。 目的が違う話を1つにまとめると、判断を誤ります。
読みたいところから読めます。
| 今の状況 | 読む場所 |
|---|---|
| 治ると期待している | 脱毛でワキガは治る? |
| 悪化すると聞いて不安 | 「臭くなった」は本当? |
| 指針が扱う治療を知りたい | 指針が挙げている治療 |
| 何をすればいいか知りたい | においとは別に考える |
脱毛でワキガは治る?
「治る」と書ける根拠は、この記事で確認した公的資料の中にはありませんでした。 同時に、「絶対に変わらない」と断定できる記載もありません。ここを正確にお伝えします。
まず前提として、ワキガ(腋臭症)と、汗の量が多い状態(腋窩多汗症)は別のものです。においの悩みなのか、汗の量の悩みなのかで、相談する内容が変わります。この記事はにおいの話です。
電子添文に「汗腺」「腋臭」の記載はない
医療脱毛で使われるGentleMax Proの電子添文を全文検索したところ、次の語はいずれも1回も出てきませんでした。
| 検索した語 | 電子添文での出現 |
|---|---|
| 汗腺 | 0回 |
| 腋臭 | 0回 |
| 多汗 | 0回 |
| 臭 | 0回 |
一方で、この機器の使用目的は次のように定められています。
本品は、レーザの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的とした装置である。アレキサンドライトレーザは表在性の皮膚良性色素性疾患の治療にも使用する。ネオジミウム・ヤグ(Nd:YAG)レーザは皮膚良性血管病変における表在性毛細血管拡張症状の改善のための治療にも使用する。
挙げられているのは、減毛・表面のシミなどの色素性疾患・表面の毛細血管の拡張の3つです。においや汗腺は含まれていません。この機器は、においを治療するための機器として承認されているわけではないということです。
毛が減っても、においのもとになる汗腺は減らない
ここで「では汗腺はどうなるのか」という疑問が出てきます。生理的な変化を断定することはこの記事ではしませんが、公的資料の書き分けから言えることがあります。
5学会の診療指針は、汗の悩みに使われるマイクロ波機器について、次のように説明しています。
これによって水分の豊富な汗腺組織が加熱されて,変性する
つまり、汗腺そのものに働きかけることを目的とした機器は、別に存在するわけです。その機器については、指針が汗腺への作用を明記しています。
対して、レーザー脱毛の電子添文には汗腺への言及がありません。目的として書かれているものが違う、という対比になります。
| レーザー脱毛(GentleMax Pro) | マイクロ波機器 | |
|---|---|---|
| 公的資料での目的 | 長期的な減毛ほか3つ | 指針が汗腺組織の変性を説明 |
| 汗腺への言及 | 電子添文に0回 | 指針に記載あり |
毛が減ることで、蒸れ方や自己処理の負担は変わるかもしれません。ただし、それがにおいそのものの治療にあたるかどうかは別の話です。この点は診察で確認してください。
【「脱毛したら治りますか」と聞かれたら】をメンズ脱毛クリニックの女性医師に聞いてみた!
「脱毛で治る」と期待して来られる方はいますか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師においが気になる方には、実際は何をすすめますか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師においが強くなった気がするときは、どうすればいいですか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師「脱毛したら臭くなった」は本当?
「脱毛すると悪化する」という記載も、確認した公的資料にはありませんでした。
この記事では、悪化を肯定も否定もしません。理由は単純で、どちらの主張にも一次情報の裏がないからです。「治る」と書けないのと同じ基準で、「悪化する」とも書きません。
そのうえで、においの変化が気になったときにできることはあります。
| 整理すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 気になり始めた時期 | 施術との前後関係が分かる |
| 施術日 | 経過を時系列で見られる |
| 生活の変化(衣類・運動・季節・体調) | におい以外の要因を切り分けられる |
| 皮膚の症状の有無(赤み・かゆみ・ブツブツ) | 皮膚のトラブルは別に対応が必要 |
自己判断で「脱毛のせいだ」と結論づける前に、施術を受けた医療機関へ相談してください。 特に皮膚に症状が出ている場合は、においとは切り離して診てもらう必要があります。
においが気になるとき、指針はどんな治療を挙げている?
ここは正確に書く必要があるので、先に注意点をお伝えします。
5学会の診療指針を全文検索したところ、「腋臭症」という語は全体で3回しか出てきませんでした。しかもその内訳は次のとおりです。
| 出現箇所 | 内容 |
|---|---|
| 1回目 | 腋窩多汗症(汗の量)の節で「外科的な治療法としては胸腔鏡下交感神経遮断術や腋臭症に準じた汗腺除去手術がある」という言及 |
| 2〜3回目 | 参考文献のタイトル(「マイクロ波治療器を用いた腋窩多汗症,腋臭症治療の検討」) |
つまり、この指針にワキガ(腋臭症)そのものの治療をまとめた章はありません。 治療法が列挙されているのは、腋窩多汗症=汗の量が多い状態についての節です。
指針が腋窩多汗症の治療として挙げているのは、次のものです。
| 分類 | 指針に挙げられているもの |
|---|---|
| 外用 | 塩化アルミニウム外用療法、ソフピロニウム臭化物ゲル |
| 注入 | A型ボツリヌス菌毒素の局所皮下注入 |
| その他 | 水道水イオントフォレーシス、プロパンテリン臭化物の内服 |
| 外科 | 胸腔鏡下交感神経遮断術、腋臭症に準じた汗腺除去手術 |
| 機器 | マイクロ波機器 |
そして指針は、これらについて次のように述べています。
これらは全て根治的な治療法ではなく治療を継続していく必要がある
「一度受ければ終わり」という位置づけではないことが、指針にはっきり書かれています。
なお、この一覧は汗の量についての治療であって、そのままワキガの治療として読み替えることはできません。ここを混同したまま「指針にはこういう治療がある」と紹介している情報を見かけますが、原文の構成は上記のとおりです。においが主な悩みの場合に何が適するかは、診察で確認してください。
ちなみに、同じ指針の中で脱毛は「第5章 脱毛治療」という独立した章として扱われています。においの治療として扱われている箇所はありません。
脱毛を受けるとしても、においとは別に考える
脱毛を受けること自体を止める記事ではありません。目的を分けて考えてくださいという話です。
| 相談したいこと | 何についての相談か | 伝え方 |
|---|---|---|
| 毛の量を減らしたい | 毛の話 | 部位・希望する仕上がり・自己処理の負担 |
| においが気になる | においの話 | いつから・どんなときに・生活で困っている場面 |
| 汗の量が多い | 汗の話 | 量・場面・日常生活への支障 |
この3つを1つの相談にまとめると、答えが混ざって判断しにくくなります。脱毛のカウンセリングで「においも一緒に良くなりますか」と聞くより、においはにおいとして相談したほうが、必要な説明を受けられます。
脱毛そのものの考え方、「永久脱毛」という言葉の意味については永久脱毛の定義はこちらで整理しています。
脱毛とワキガのよくある質問
- 脇脱毛は何回くらい必要ですか?
-
回数は、目標とする状態や毛・肌の状態によって変わるため、この記事では示しません。においの相談とは別の話になるので、脱毛の回数についてはカウンセリングで、その根拠と追加施術の条件まで含めて確認してください。
- 黒ずみも一緒に改善しますか?
-
電子添文には、アレキサンドライトレーザーの使用目的として「表在性の皮膚良性色素性疾患」の治療も挙げられています。ただし、これは医師の診断を前提とした治療であり、脱毛のついでにあらゆる色素の悩みが改善するという意味ではありません。気になる場合は、その目的として別に相談してください。
- 何科に相談すればいいですか?
-
においが主な悩みであれば、皮膚科など医療機関へ、においの相談として伝えてください。受診先については地域の案内や紹介に従うのが確実です。脱毛を受けている医療機関がある場合は、そこで相談先を聞くこともできます。
- 女性と男性で違いはありますか?
-
性別だけで方針が決まるものではありません。この記事では、性別ごとの割合を示す数字は扱いません。確認した公的資料にその記載がないためです。症状と困っている場面を具体的に伝えて相談してください。
においの悩みは、脱毛の枠に入れてしまうと相談しにくくなります。毛の話とにおいの話を分けて伝えることが、遠回りに見えて一番確実です。
参考文献
| 資料名 | 発行元 | 確認した記載 | 版・確認日 |
|---|---|---|---|
| 長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro 電子添文 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) | 使用目的(減毛・表在性の皮膚良性色素性疾患・表在性毛細血管拡張症状の3つ)/「汗腺」「腋臭」「多汗」「臭」がいずれも0回であること | 第7版、2025年9月作成/2026-09-06確認 |
| 美容医療診療指針(令和3年度改訂版) | 日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS)、日本形成外科学会、日本皮膚科学会 | 腋窩多汗症の治療の列挙と「根治的な治療法ではなく治療を継続していく必要がある」/マイクロ波機器による汗腺組織の変性/「腋臭症」の記載が全3回で、うち2回が参考文献タイトルであること/脱毛が第5章の独立した章であること | 令和3年度改訂版(日本美容外科学会会報 2022 Vol.44 特別号)/2026-09-06確認 |


