日本美容皮膚科学会会員
日本美容内科学会評議員
日本抗加齢学会正会員
メンズクララ院長、医療法人Clara理事長
東京大学理科2類中退後、2011年香川大学医学部卒。東京女子医科大学病院初期研修、東京女子医科大学病皮膚科入局、2016年大手美容外科都内分院スキンクリニック院長などを経て、現職。
医師は客観的な事実を監修しており、特定の商品をおすすめするものではありません。
脱毛の予約と飲み会が近い日に重なると、「前日は飲んでいいのか」「施術後は何時間空ければいいのか」と迷います。調べると「飲酒はNG」と書いてあるのに、禁止する期間はページによってばらばらです。
脱毛クリニックの女性医師に、いつから飲めるのか、なぜダメと言われるのか、飲んでしまったときの見方を聞きました。あわせて、医療機器の電子添文(公式の取扱説明)や学会の診療指針に飲酒がどう書かれているかも確認しました。
- 「施術後◯時間で飲める」という公的な基準はありません
- 目安は、施術後は赤みやほてりが引くまで控えること
- 前日の飲酒は、施術の時間までにお酒が抜けているかが目安
- 施設に案内があれば、その案内が最優先
- 飲んでしまったら慌てず、照射した部分を見て、変化があれば連絡する
この記事では、いつから飲めるかの考え方、なぜダメと言われるのか、前日・当日の動き方、飲んでしまったときの見方を順に説明します。
| 知りたいこと | 読むところ |
|---|---|
| 何時間後・いつから飲めるか知りたい | 何時間後・いつから飲める? |
| なぜダメと言われるのか納得したい | なぜダメと言われるのか |
| 前日に飲み会がある | 前日・当日はどうか |
| もう飲んでしまった | 飲んでしまったときの対処 |
| ヒゲ脱毛や効果が気になる | よくある質問 |
脱毛後のお酒は何時間後・いつから飲める?
「施術後◯時間で飲める」という公的な基準はありません。 電子添文(GentleMax Pro)と、5つの学会がまとめた診療指針の両方に、飲酒についての記載がないためです。
そのかわり、判断の物差しは3つあります。
| 場面 | 判断の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 施術後 | 照射した部分の赤みやほてりが引くまで控える | 電子添文に、照射後に起こりうる事象として紅斑(赤み)・浮腫(むくみ)・掻痒感(かゆみ)が挙げられている |
| 前日の飲酒 | 施術の時間までに、お酒が体から抜けているか | 厚生労働省:10gの純アルコールが排出されるのに約2.5時間 |
| 施設に案内がある | その案内が最優先 | 案内は施設の運用で、公的な基準ではないため |
前日の飲酒は、お酒が体から抜ける時間でおおよそ見当がつきます。厚生労働省は、10gの純アルコールが体から排出されるのにかかる時間を約2.5時間としています。純アルコール量は、お酒の缶や瓶の表示にある量と度数から確かめられます。厚生労働省のアルコールウォッチでは、飲んだお酒を選んで量を調べられます。
ただし、これはあくまで目安です。分解の速さは、体質や飲酒の習慣で大きく変わり、これより遅い人も少なくありません(e-ヘルスネット)。また、お酒が抜けていても、赤みや二日酔いの症状が残っているなら、その日は無理をしないほうが安心です。
公開されている案内を見ると、施設の案内には幅があります。当日の施術前だけ控えるよう案内するところから、前後半日ほど、施術後は1日ほど空けるところまで、さまざまです。数字が食い違うのは、どれかが間違っているというより、それぞれの施設が自分の運用として決めているからです。
なぜ「飲酒はダメ」と言われるのか
多くの施設が飲酒を控えるよう案内していますが、その理由まで説明されていることは多くありません。ここでは、研究と公的な資料に、どこまで書かれているかを確認します。
飲酒で皮膚の血流が増える研究はあるが、条件で結果が変わる
「お酒を飲むと血行がよくなる」とよく言われます。実際に、健康な人を対象にした研究がいくつかあります。
| 研究 | 対象 | わかったこと |
|---|---|---|
| 1984年(Ann Emerg Med) | 健康な男性48人 | 気温25〜30℃では、飲んだ人に皮膚の血管の拡張がみられた。20℃と35℃では差がなかった |
| 1994年(Clin Physiol) | 健康な14人と、足の動脈に病気がある14人 | 健康な人は、熱にさらしたあとの飲酒で皮膚の血流がさらに81%増え、皮膚温は約2.9℃上がった。病気のある人では増えなかった |
ただし、1994年の研究は冒頭で「アルコールの摂取が皮膚の血流を増やすかどうかには議論がある」と書いています。研究の数が少なく、条件によって結果が変わるのが実情です。
脱毛の前後の飲酒を直接調べた研究は、見つかりませんでした
脱毛の前後に飲酒すると、肌のトラブルが増えるのか。これを直接調べた研究は、PubMed を検索した範囲では見つかりませんでした。電子添文にも診療指針にも、飲酒の記載はありません。
| 項目 | GentleMax Pro 電子添文 | 5学会 美容医療診療指針 |
|---|---|---|
| 遮光・日焼け | 記載あり | 記載あり |
| 冷却 | 記載あり | 記載あり |
| 飲酒 | 記載なし | 記載なし |
| 入浴・温泉・サウナ | 記載なし | 記載なし |
電子添文に「アルコール」という語は1回だけ出てきますが、機器の窓を清掃する説明で、飲酒の話ではありません。
そのため、「飲酒するとこうなる」と断定することはできません。ただ、次のことは言えます。
- 飲酒で皮膚の血流が増えるとする研究はある
- 脱毛の照射後は、赤みやむくみ、かゆみが起こりうる
- 1994年の研究は、熱が加わったあとの飲酒を調べたもの。照射の直後も肌に熱が加わった状態なので、この2つが重なると、赤みやほてりが目立つ可能性は否定できない(直接の証拠ではない)
多くの施設が飲酒を控えるよう案内するのは、起こりうる赤みやほてりを避けたいという、安全側の判断として理解できます。
だから「施設の指示」が最優先になる
ここで注意したいのは、「書かれていない=制限しなくてよい」ではないことです。電子添文は、機器の使い方を定めた文書です。患者が施術後にどう過ごすかを、すべて決めるものではありません。書かれていないことは、診察した医療機関がそれぞれの方針で案内します。
| 事実 | そこから言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 公的資料に飲酒の記載がない | 「◯時間」という共通の基準は存在しない | 「だから飲んでよい」 |
| 施設ごとに案内が違う | それぞれの運用の違いである | 「どれかが間違っている」 |
| 遮光・冷却は明記されている | この2つは優先度が高い | 飲酒は気にしなくてよい |
案内が見当たらないときは、次のように聞いてみてください。
- 施術の前日・当日に飲酒の予定がある場合、どうすればよいですか
- 施術後、飲酒について何か案内はありますか
- 飲んでしまった場合、どんな症状があれば連絡すればよいですか
【前日に飲み会があるんですが】を脱毛に詳しい女性医師に聞いてみた!
前日に飲んだ日は、当日どう判断すればよいですか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師「少しなら大丈夫」と考えてよいですか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師ネットの「◯時間空ける」という数字は、信じてよいですか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師飲んでしまった後は、何を見ていればいいですか?
編集部
神林由香 医師
編集部
神林由香 医師前日・当日に飲んでもいい?
この記事で「飲んでよい」「飲んではいけない」と断定はしません。公的資料に基準がなく、施設ごとに案内が異なるためです。そのうえで、実際に予定が重なったときの動き方は決まっています。
| 状況 | すること |
|---|---|
| 予約前に飲み会の予定が分かっている | 予約の時点で施設に相談する。日程を調整できる場合がある |
| 前日に飲んだ | 当日の朝の体調と、肌の赤みを確認する。来院時に、前夜の飲酒を伝える。体調がすぐれなければ、早めに連絡する |
| 当日に飲む予定がある | 施術の前に伝え、案内を確認する |
| 施設の案内が見当たらない | 予約時か来院時に直接聞く |
予約の変更ができる期限や、キャンセル料の有無は施設によって違います。予定が分かった時点で、早めに連絡するのが確実です。
共通しているのは、先に伝えるほうが選択肢が増えるという点です。黙って受けて後から不安になるより、先に相談するほうが確実です。なお、施術を断られたり延期になったりする基準は、施設によって異なります。
飲んでしまったときはどうする?
施術の前(前日・当日)に飲んでしまったとき
まず、お酒が抜けているか、体調や肌に赤みが残っていないかを確かめます。二日酔いなど体調がすぐれないときや、赤みが残っているときは、無理に受けず、早めに施術先へ連絡して日程の相談をしてください。予約の変更期限やキャンセル料は施設によって違うので、気づいた時点で連絡するのが確実です。
施術の後に飲んでしまったとき
まず慌てず、照射した部分を見てください。電子添文が挙げている、レーザー脱毛のあとに起こりうる事象を手がかりにします。この電子添文は GentleMax Pro という一つの機器のものですが、赤みやむくみ、かゆみといった変化は、照射のあとに共通して注意する点です。
| 見るところ | 電子添文に挙げられている事象 |
|---|---|
| 水ぶくれができていないか | 水疱形成 |
| 赤みが強くなっていないか | 紅斑 |
| 腫れ・むくみがないか | 浮腫 |
| かゆみが強くないか | 掻痒感 |
| 皮膚が硬くなったり、かさぶたになっていないか | 痂皮形成 |
これらは、飲酒によって起きると書かれているわけではありません。レーザー脱毛のあとに起こりうる事象として挙げられているものです。飲酒の有無にかかわらず、施術後はこれらの変化を見ておくと、連絡すべきかどうかを判断しやすくなります。
赤みやほてりが気になるときは、電子添文が施術後の対応として挙げている冷却を使います。アイスパックなどで照射部位を冷やしますが、「過度の冷却に注意」という但し書きがあるため、長時間冷やし続けるのは避けてください。
次のいずれかに当てはまる場合は、施術を受けた医療機関へ連絡してください。
- 水ぶくれができている
- 痛みが強い、または強くなっている
- 赤みが時間とともにひどくなっている
- 照射した範囲を超えて症状が広がっている
飲酒以外に、施術後に気をつけることは?
飲酒よりも優先度が高いのは、電子添文に名指しで書かれている次の2つです。
(6)合併症の発現リスクを低減するため、治療前及び治療後には日焼けを防ぐために日焼け止め等を使用し、十分な遮光を行うこと。
(7)治療後の不快感や合併症のリスクを低減するため、治療後にはアイスパック等で照射部位の冷却を適宜行うこと。寒冷刺激によりレイノー症状をきたす可能性があるため、過度の冷却に注意すること。
日焼けは、施術後だけでなく施術前にも求められています。電子添文は日光皮膚炎(日焼けによる炎症)について、皮膚の色調が元に戻るまで治療を避けるとしています。日焼けは、当日の施術ができるかどうかにも関わります。
入浴・温泉・サウナについては、電子添文にも診療指針にも記載がありませんでした。飲酒と同じく、施設の案内が判断の基準になります。
「永久脱毛」という言葉の意味や、施術そのものの考え方は永久脱毛の定義はこちらで整理しています。
脱毛とお酒のよくある質問
- 髭脱毛(ヒゲ脱毛)やVIOのときも、飲酒の考え方は同じですか?
-
電子添文にも診療指針にも、部位ごとの飲酒の記載はありません。ヒゲ(顔)やVIOの脱毛でも、判断の物差しは同じです。照射した部分の赤みやほてりが引くまで控え、前日の飲酒は施術の時間までにお酒が抜けているかを見ます。顔は赤みが目立ちやすい場所なので、気になるときは早めに施術先へ連絡してください。
- 飲酒で脱毛の効果は落ちますか?
-
飲酒が脱毛の効果に影響するかを調べた研究は、確認できませんでした。電子添文にも診療指針にも、そのような記載はありません。そのため、効果が落ちるかどうかよりも、照射した部分の赤みやほてりなど、肌の状態を基準にするのが現実的です。機器の使用目的は「長期的な減毛」と定められており、効果を考えるときは、1回ごとではなく複数回の治療を通して見ます。
- お風呂・温泉はいつから入れますか?
-
電子添文にも診療指針にも、入浴・温泉・サウナに関する記載はありませんでした。飲酒と同じく、契約した施設の案内に従ってください。症状が出ている場合は、その状態を伝えたうえで確認するのが確実です。シャワーと湯船の違いや温泉・サウナの扱いは、お風呂・温泉はこちらで詳しく整理しています。
- 運動はいつからできますか?
-
これも公的資料に記載がありません。診療指針に「運動」という語は3回出てきますが、いずれも高周波や超音波、ボツリヌス製剤といった別の施術の説明で、脱毛後の運動とは無関係でした。施設の案内を確認してください。
- 施術を断られることはありますか?
-
施設ごとの判断になります。日焼けや皮膚の状態については電子添文に記載がありますが、飲酒を理由とする可否は公的資料に定めがありません。前日や当日に飲む予定がある場合は、予約の時点で相談しておくと、当日になって困りません。
まとめ
- 「施術後◯時間で飲める」という公的な基準はない
- 施術後は、照射した部分の赤みやほてりが引くまで控える
- 前日の飲酒は、施術の時間までにお酒が抜けているかが目安。10gの純アルコールが抜けるのに約2.5時間かかる(個人差が大きい)
- 飲酒で皮膚の血流が増える研究はあるが、条件で結果が変わる。脱毛との関係を直接調べた研究は見つからなかった
- 飲んでしまったら慌てず、照射した部分を見て、水ぶくれ・強い痛み・悪化する赤みがあれば連絡する
- 迷ったら、契約した施設の案内に従う
次に知りたいことで、読む記事を選べます。
- 入浴・温泉:お風呂・温泉はこちら
- 施術の考え方:永久脱毛の定義はこちら
関連記事「脱毛後は抜け落ちるまで剃ってはいけない?何日後から剃れる?剃ってしまった時は」もあわせてご覧ください。
本記事で扱う医療脱毛(レーザー脱毛)は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。費用は全額自己負担となり、料金や回数は医療機関ごとに異なります。なお、脱毛の効果・必要な回数・副作用の現れ方には個人差があります。
参考文献
| 出典名 | 発行元 | 確認した記載 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| アルコールの吸収と分解(e-ヘルスネット・最終更新 2022-01-20) | 厚生労働省 | 代謝速度の個人差が大きく、目安より遅い人も多い/フラッシング反応 | 2026-10-20 |
| アルコールウォッチ | 厚生労働省 | 10gの純アルコールが排出されるのに約2.5時間 | 2026-10-20 |
| Effect of exposure to heat and intake of ethanol on the skin circulation and temperature in ischaemic limbs(Clin Physiol 1994) | PubMed | 健康な人で、熱曝露後の飲酒により皮膚の血流がさらに増加/議論がある旨 | 2026-10-20 |
| Influence of ethanol and ambient temperature on skin blood flow(Ann Emerg Med 1984) | PubMed | 25〜30℃でエタノール摂取者に血管拡張、20℃・35℃では上乗せなし | 2026-10-20 |
| 長期減毛・皮膚疾患用レーザー装置 GentleMax Pro 電子添文 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) | 施術前後の遮光と冷却の指示/有害事象/日光皮膚炎の扱い/飲酒・入浴・温泉・サウナの記載が無いこと(第7版、2025年9月作成) | 2026-09-06 |
| 美容医療診療指針(令和3年度改訂版) | 日本美容外科学会(JSAPS)、日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS)、日本形成外科学会、日本皮膚科学会 | 飲酒・入浴・温泉・サウナの記載が無いこと/「運動」の記載が別施術の文脈であること(令和3年度改訂版・日本美容外科学会会報 2022 Vol.44 特別号) | 2026-09-06 |


