肌の美しさの最大値は決まっていて、その最大値をスキンケアで引き上げることはできないとしたら。
スキンケアにはあまり意味がないのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
スキンケアは肌の美しさを守る上でとても大切です。
現時点の肌を決める要素は?
なぜなら、現時点での肌の美しさを決める要素は、以下の3つだからです。
- 生まれつきの肌質
- 身体年齢(内側の健康状態の度合いという意味で実年齢とは異なる)
- 現時点まででどれだけ肌を大事にしてきたか
2つ目の身体年齢は健康的な生活習慣全般。
3つ目は主にスキンケアで決まります。
生活習慣が大切
20代前半までの若いうちは1つ目の生まれつきの肌質(先天性)の占める割合が大きいです。
ですが年をとるにつれ、2つ目と3つ目の要素(後天性)が大きな意味合いを持ってきます。
35~40歳くらいの段階で、先天性と後天性の要素がおよそ半々になる印象です。
40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持てと言われますが、肌の美しさもその頃から後天性の要素の方が大きくなってくることも大いに関係があります。
生まれつきの肌質とは
次に、みんな気になっているけどなかなか語られることの少ない、生まれつきの肌質についてお話します。
生まれつきの要素では全ては決まらない
大前提として、肌状態は「生まれ持った肌質×スキンケアや生活環境」の掛け合わせで決まってきますので、生まれ持った要素が全てではありません。
生まれつきの肌質を理解した上で、自分に合ったスキンケア戦略を練ることが大切です。
どんな肌質だとしても、その利点と欠点を把握しうまくケアしていけば、年齢を重ねてもかなり良い状態を保てます!
肌質を決める遺伝的な要素
肌質を決める遺伝的な要素多くの要素が遺伝子で決まっていますが、そのうち、代表的なものをあげてみます。
色白か色黒か
皮膚の色は主に2つの要素で決まります。
メラニン(黒)、ヘモグロビン(赤)です。
食事内容や体質によっては、カロチン(黄色)、ビリルビン(黄色)、ヘモジデリン(青)が関係する場合もあります。
みかんを食べ過ぎると手が黄色くなったりするのはカロチンの沈着によるものです。
肝臓の障害でビリルビンやヘモジデリンの色合いが出てくることもあります。
カロチンやビリルビンで黄色くなることもありますが、いわゆる黄色人種というのは、それではなく、メラニンの多さで決まります。
メラニンがややあると黄色く見えるのでそういう呼び方になっています。
ヘモグロビンの赤は、血の色です。
ニキビや湿疹などの炎症が起きて血流が多くなっている部分、怪我をした後に皮膚が再生してきてはいるもののまだ薄くてピンク色に見える部分、赤ら顔、などに関係しています。
別記事で詳しく述べますが、メラニンには2種類あります。
そのうち、黒色メラニンの量によって肌の色が決まってきます。
顔面など紫外線にさらされやすい部分では年齢とともに黒くなることがありますが、太ももの内側などでは高齢になっても色の白さは変わらないというデータがあります。
また、生まれつき女性の方が色白の傾向にあります。
色の白さの度合いを決める遺伝子はたくさんあり、その組み合わせなどで肌の色が決定されます。
黒色メラニンが多いと血の色は肌に反映されにくいですが、メラニンが少なく角質も薄いと血の色が肌に反映されやすく、ピンクっぽい色白の肌になります。
そして、色白は七難隠す、、というよりはシミなどあらゆる肌トラブルが目立つのであながち良いとは言えないかもしれません……。
シミのできやすさ
シミと言っても、実はかなりの種類があります。
いわゆるシミは老人性色素斑のことを指します。
そのほかにも、肝斑、アザに近いようなもの、雀卵斑(ソバカス)、ケガやニキビが治ったあとの炎症後色素沈着、などがあります。
生活習慣が原因のことも多いですが、それとは関係なく、遺伝的に生まれつきできやすいタイプのシミもあります。
ホクロのできやすさ
紫外線にさらされるとできやすいですが、これも個人差があります。
キメの細かさ
肌の表面は、皮溝と呼ばれる谷と、皮丘と呼ばれる山で成り立っています。
これを肌の肌理(キメ)と呼びます。
この大きさや密度が均一に分布され皮丘がふっくらしてしっかり皮溝が深い状態を、キメが整っていると言います。
一方、ひとつひとつの肌理が小さいことをキメが細かいと言います。
ちなみに、生まれつき女性の方が男性よりもキメが細かいとの研究報告があります。
どんなにもとのキメが細かくてもそれが不健康に乱れていると美しく見えませんので、スキンケアでキメの整った状態をキープすることが大切です。
老化によりターンオーバーが長くなると、角質は厚くなり、キメは乱れます。
透明感
生まれつきの角質層の厚さも決まっています。
例えば、日本人よりも白人の方が厚いです。角質層は薄いほうが、肌に透明感が出ます。
白人向けに開発された刺激の強いピーリングでは、角質層の浅い日本人は瘢痕ができてしまいます。
また、角質層が厚く皮脂腺の働きの活発な白人は、日本人よりもニキビが重症化しやすいです。
そして太陽に当たった時の反応として、白人の場合は角質が厚くなります。
対して日本人では角質が厚くなるのではなく、メラニン色素が出ることで黒くなる反応がおきます。いずれも、紫外線から身体を守るための反応です。
補足ですが、老化でも角質は厚くなります。
老化すると透明感がなくなる理由のひとつが、角質が厚くなることです。
毛穴の大きさ
毛が細く、皮脂分泌が少ないほど、毛穴は小さくなります。
男性ホルモンが多いと皮脂分泌が盛んになるので毛穴は大きくなります。脂性肌では毛穴は大きいです。
脱毛すると、毛の太さにより開いていた要素が取り除かれるため、毛穴は少し引き締まります。
(毛穴がなくなるわけではありません)
脂っぽさと潤い
皮脂が多いと脂っぽい肌に、天然保湿成分などの分泌が多いと潤った肌になります。
皮脂分泌の多さ、潤い成分の多さも、ある程度生まれつき決まっていますが、これらはスキンケアである程度コントロール可能です。
真皮の厚さ
日本人は白人より厚く、ハリのある肌質です。
シワ、たるみの出やすさ
コラーゲンが減少しやすい肌質というのがあります。
コラーゲンが減少すれば、シワ、たるみに繋がります。
具体的には、コラーゲンを分解する酵素の働きが盛んだったり、真皮が薄くメラニンでの防御も少ないと(白人など)紫外線の害を受けやすく、コラーゲンが減少しやすかったりします。
ちなみにコラーゲンは食べ物から摂取してもあまり意味はありません。
良質なタンパク質を摂取しているという程度の認識でいるべきで、だったら鳥のササミでも食べてればいいという話もあります。
ケロイド体質
黒人ほどなりやすく、白人ほどなりにくいです。
真皮が厚く傷を修復するコラーゲン合成が活発だとケロイド体質になりやすいです。
ハリのある肌になりやすいとも言えます。
悪いダメージからの回復力
紫外線を浴びると活性酸素ができて肌を痛めますが、人体にはできてしまった活性酸素を除去する機能があります。
それが活性酸素除去能と呼ばれるもので、この働きの強さにも個人差があります。
活性酸素ができないように心がけたり、抗酸化成分を多く摂取したりなどである程度対処できます。
正しいスキンケア方法は人によって違う
このように、肌質を決める様々な要素がそれぞれ決まっていて、その要素の組み合わせにより、生まれつきの肌質は決まります。
同じ環境で過ごしたとしても、人によって肌への影響の仕方が異なるのはそのためです。
例えば紫外線が強い環境では、黒人は肌にダメージを受けにくく、白人は肌にダメージを受けやすいです。
そのあたりをしっかりと考えて、自分の肌質、自分が普段過ごしている環境、に合ったスキンケアを選択する必要があります。
肌質の男女差
前述しましたが、女性の方が、色白で、キメが細かく、うぶ毛も細く皮脂分泌が少ないので毛穴も小さいので、どう考えてもやはり女性の方が肌がキレイです!笑
遺伝子検査で分かることは少ない
最近は、肌質診断のための遺伝子検査なども一般化してきていて、それでもある程度調べることはできます。
しかし、肌質を決める遺伝子は膨大な数がある中で一般に検査できる遺伝子は数える程度しかないので、その検査で全てが決まるわけではありません。
あまりとらわれない方が無難です。
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