この記事ではレーザー脱毛の原理を理解しましょう。
レーザーって何?
まずは、レーザーの定義から。
光は波であるというのはよろしいでしょうか?
(本当は、波かつ粒子なのですが、ここでは省略)
光は、波長の長さによって次の図のような名前がついています。
(紫外線から赤外線までの波長の図)
可視光線は「虹」として誰もが見たことがあると思います。
なんとなく光というものがイメージできましたでしょうか。
レーザーの定義
レーザー(laser)とはLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation の頭文字。
日本語にすると放射の誘導放出による光の増幅を指します。
ただ、そんなことを言ってもなんのことやら……って感じですよね。
簡単に言うと、レーザー(laser)とは単一の波長の光を増幅したもの、です。
例えば、虹の青色の部分の光だけを取り出して、エネルギーをがっつり増大させたようなイメージです。
強力な青色ビーム! という感じ。
レーザーの3要素
レーザー光は、次の3要素によって、どんな作用を出せるのか決まります。
- 発振波長:何色のビームにするか
- 照射時間(パルス幅):ビームをあてる時間の長さ
- エネルギー密度:ビームの強さ
選んだ特定の波長の光を強くして、ムダ毛やシミがあるところに照射します。
照射する際の出力の強さ、当てる時間の長さ、をうまく設定すると効果が出る仕組みです。
レーザーによる脱毛やシミなどの治療は、次の理論により確立されました。
SP理論:Selective Photothermolysis(選択的光加熱分解)
- 目的とする色素に到達し、特異的に吸収される波長
- 目的とする細胞・組織のthermal relaxation time よりも短い照射時間
- 目的とする細胞・組織を破壊するのに十分な照射エネルギー
の3条件を満たす光を照射すればシミやムダ毛を瘢痕なく治療できるという理論です。
ちなみに「Thermal relaxation time」とはターゲット内で生じた熱エネルギーが周りの組織に移行する時間。つまり熱緩和時間(表皮は3~10ms、毛包は40~100ms)のことです。
レーザー脱毛機器は10~50msのものが主流になっています。
狙った部分にだけ効く!
破壊的なエネルギーのレーザーを当ててしまうと、シミやムダ毛だけでなく、皮膚全体がダメージを受け傷になってしまいます。
それをうま~く調整することで、シミやムダ毛など不必要な部分のみを攻撃し、他の組織は温存できるという理論です。単純ですが、画期的です!!
- 赤あざ(血管病変)にはヘモグロビンに吸収される波長
- シミと脱毛にはメラニンに吸収される波長
- 刺青はそれぞれの色素に吸収される波長
が利用されています。
たくさんの色が入っている刺青の除去が一番困難です。
脱毛のターゲットは、毛の中に含まれるメラニン。
毛が100℃以上に上昇し気化、その周囲の毛包は壊死、凝固し、毛包が破壊されることで永久的な脱毛効果が得られます。
医療レーザー脱毛でよく使われる発振波長は、
- アレキサンドライトレーザー:755nm
- ダイオードレーザー: 800nm
で、それぞれたくさんの種類の機械が発売されています。
人気の高いレーザー脱毛
1996年に世界で初めてレーザー脱毛が報告されて以来、レーザー脱毛はどんどん一般化しました。
日本では2000年頃から普及。
現在では女性だけでなくヒゲ脱毛を中心に男性にも、また将来自分が介護を受ける時のことを考えた中高年の男女にも爆発的に需要が増えています。
エステ脱毛では永久脱毛できない
ちなみに、エステ脱毛でよく使われるのは、ホワイトライト脱毛と言って、単一の波長ではありません。
500-1200nmのブロードバンド(複数の波長を含んだ光という意味)で、エネルギーは低く、脱毛効果も一時的で永久脱毛はできません。
白人や黒人はレーザー脱毛しにくい
ひとつ、注意点があります。
レーザー脱毛の原理では、肌の色がわりと白く、毛は黒いことを前提としています。
つまり、かなり色白の白人ではムダ毛まで金髪なため反応しにくく、肌が黒いと毛だけでなく皮膚まで焼けてしまうためレーザーを当てられません。
レーザー脱毛は、肌が比較的白くムダ毛は黒い、東洋人に最適の治療なのです。
そんなわけで、がっつり日焼けしている方はレーザー脱毛は受けられません。
(機械によっては比較的色黒な方でも照射できるタイプのものもありますので、詳しくはカウンセリングで聞いてみましょう)
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