美しさとは
美しいということについて、生物学的に考えてみます。
生物にとっての美しさ
生物にとって美しいとはどんな意味があるのか?
生物にとって美しいとは、単純に生殖相手を選ぶ基準の意味合いが強いです。
たてがみの整っていないライオンがメスから選ばれることはなく、羽根の美しくない孔雀がメスから選ばれることもありません。
美しさは健康の象徴
たてがみや飾り羽根が美しいということは、その個体が健康で生命力に溢れているということの象徴なのです。
命を維持するのがやっとという程度の生命力であれば、たてがみや飾り羽根のような、生きていくのにも獲物を捕らえるのにも直接は役立たないものまで立派に維持することはできません。真っ先に、生命エネルギーを使う対象からは外れるでしょう。
健康を損なうと
健康と美しさの関係を知るには、まずは病気と容姿の崩れの関係について知る必要があります。
病気になると容姿はどう崩れるのか?
ひどい風邪を引いた時を想像してください。誰もが、ある程度やつれた顔になるのが分かると思います。
肝臓が障害されると、体に有害な物質が代謝できなくなり皮膚に症状が出ることがあります。
大腸が障害されれば栄養を吸収できず、痩せ細った体型になります。
一部の疾患は特徴的な容貌になることがあり、その顔貌は一般的に醜いとされるものもあります。「ノートルダムの鐘」の主人公カジモドは非常に醜い男という設定ですが、あの外見は、くる病という疾患の特徴そのものです。(現代の日本では乳幼児のうちに対策が取られますので、ほとんどみられなくなっている疾患です)
あらゆる疾患は、何らかの形で容姿に影響します。疾患とまではいかなくても、生活が乱れれば、お腹が醜く出てしまったり、肌が荒れたりクマが深くなったりします。
ちなみに内臓脂肪は、健康に悪いだけでなく、肌を汚くする物質も分泌しています。
よく言われる美しさの基準に”左右対称”というのがありますが、病になった場所は形が崩れるので、左右対称性が失われることにつながります。
健康が目立って美しいわけではなく、病的であることが醜形につながりやすいのです。
どんなに努力しても避けられない疾患もたくさんあります。せめて、生活習慣病などは避けたいものです。
健康とは素晴らしいことです。
健康であることに比べたら、さらに美しくしようというのはかなり贅沢な悩みかもしれません。
美人病とは
美人がなりやすい病気とされているものがあります。
いわゆる美人の骨格だとなりやすい病気だとか、
その病気になった初期にホルモンバランスの関係で容姿が美しくなりやすいものを指します。
それに憧れて、○○病になりたい!、などと安易に言う風潮がありますが、実際にその疾患に苦しんでいる人からしたら、とんでもない話です。
絶妙なバランスで美しくなる時期もありますが、闘病の過程はそんなきれいな話ばかりではありません。
平均顔は美しい
ある生物が健康であれば、その生物の平均的な形をしているはずです。
すべての人の平均顔は?
その証拠に、あらゆる女性の顔をコンピュータで平均値にした顔立ちは美人の典型そのものであることが指摘されています。
美人だけの平均顔は?
ちなみに、ミスコン優勝者のような美人ばかりの顔の平均値をとると、全ての女性の顔の平均値よりもやや童顔の傾向があることもわかっています。これは、若く見えることがより美しく見えることも示唆しています。
平均値かつ若い、これが健康(=美しさ)の正体です。
美しさよりも異常の方が目立つ
不思議なことに生物の視覚は、均等で整ったものは無意識にスルーしがちで、自然界の調和から外れた違和感のあるものを強く認識します。
穏やかな水面のほうではなく、魚がぽちゃんと跳ねて波打ったところに目がいくようにできているのです。
健康とは正常なことでそれを特に意識することはありませんが、欠点には非常に目がいくのです。
異常を察知するというのは危機回避能力でもあります。
欠点のない美しい顔立ちの芸能人よりも、少し特徴のある顔立ちの芸能人の方が人気が出ることが多いのは、欠点のほうが目立つために印象に残りやすいからだとも言えます。許容できる範囲の欠点はチャームポイントと呼ばれたりします。
自分にはない遺伝子を求める
すべてが平均的にできている人間は少なく、それぞれに色々な特徴を持っていることが多いです。
種の保存の観点から、自分には欠けた遺伝子を求める本能があり、欲しい遺伝子の特徴を有する異性を求めることもわかっています。
例えば、汗などの体臭は人によってかなり違いますが、どのタイプのにおいを心地よく感じるか臭く感じるかはかなり個人差があり、自分の遺伝子から遠いタイプの遺伝子を持つ異性のにおいほど心地よく感じることがわかっています。
少し特徴のある顔立ちの芸能人のほうが人気なのも、自分に欠ける遺伝子を察知させるからかもしれません。逆に、自分が求めていない、平均から外れた欠点は非常に不快に感じることもあります。
美しくなりたければ、欠点を直す
美しさとは欠点のないことです。美しくなりたいのであれば、まずは欠点を改善すること。
まずは不健康なところ(メタボ、不摂生による肌荒れなど)を改善させることから。
ひとつのパーツを極めても美しくなれない
美容整形をするにしても、もともと整ったパーツをより美しくする(例えば二重の幅をもっと広くする)というのはあまり得策ではありません。
すでに調和がとれている美しい状態をかえって崩してしまう可能性もありますし、美しいパーツがさらに美しくなっても他人はあまり気付きません。
生理的に無理、の回避
特に男性は、欠点がないという外見の特徴は有利と言えます。女性と違って、外見だけで選ばれるということが(特に社会人以降は)少ないからです。
女性が男性の外見を評価するとき、特別に超イケメンというレアケースを除いては、美しい部分を見つけて好きになる可能性よりも、欠点を見つけて「生理的に無理」となることが圧倒的に多いです。
生理的に大丈夫かどうかの一次試験をパスし、中身をトータルに判定したのちに”好き”となって初めて、部分的な美しさを褒め称えたりするのです。美しい部分を見つけたから好き、なのではなく、好きだから美しい部分が目に入る、この順番のことが多いです。
生理的に無理って何?
生理的に無理、とは「美=若さ+健康」の観点からの許容範囲を下回ってしまうことです。具体的には、
・不健康
・不潔
・欲しくない遺伝子
の主に3つです。
不健康
標準体型から外れている(痩せすぎ、太りすぎ)
老化が外見に出ている:顔の老化、お腹が出て内臓脂肪が溜まっているなど
老化は仕方ない部分もありますが、基本的には普段の生活習慣の乱れがそのまま容貌にあらわれます。
不潔
不快な体臭(イケメン一発アウト記事参照)
ヒゲや体毛のムダ毛の放置
肌が汚いのを放置
など。
意識次第で清潔感はアップできます。
欲しくない遺伝子
不健康、不潔、は誰でも意識次第で変えられますが、これは少し難しい可能性もあります。
・顔や体の特徴(平均から外れた特徴)が受け入れられない
・生理的な体臭(不潔というわけではなく、本来持っているもの)が無理
これで「生理的に無理」にされてしまうのは、基本的には「相性が悪い」と思った方が無難です。
もし、平均から外れた顔の特徴が自分でもどうしても嫌いで変えたいと思うのであれば、美容整形を視野に入れる選択肢もあるかもしれません。
別記事で詳しく書きますが、美容整形にはやはり光も闇もありますので、まずは、闇は少なくちょっと光がアップする程度のプチ整形くらいでも、だいぶ欠点が改善し印象アップすることは多いので、そのあたりから検討するのはアリだと思います。
とは言え、このシビアな要素よりも、単純に「不健康」「不潔」ではじかれてるケースが圧倒的に多い気がします!
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